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2008年8月21日 (木)

福島県立大野病院事件で無罪判決

-------MSN産経ニュースより引用-------

 福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が手術中に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の判決公判が20日、福島地裁で行われた。鈴木信行裁判長は、医療行為と患者死亡との因果関係を認めたうえで、措置自体は一般的な医療行為で過失はなかったなどと判断し、加藤被告に無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。

--------引用終わり--------

遺族の感情もわからないではないが、今回の判決は極めて妥当なものだと思う。

実は私の妻も、亡くなった患者さんと同じ「癒着胎盤」だった。
個人経営の産婦人科で妊婦検診を受けていたが、その病院に非常勤で来られていた大学病院の医師が「前置胎盤」の疑いと診断され、次の検診で大学病院を受診した際にたまたま診察した医師がエコーを見て「癒着胎盤」に気づいてくださったのだった。

「胎盤が剥離して出血すれば命にかかわる」との判断で、3ヶ月程入院して帝王切開手術を受けた。

医師の説明では、この「癒着胎盤」というのは症例が少なく、妻のような症例は数千件の出産に1件の割合だと言われたように記憶している。例えば毎日1名が出産する病院でも十数年に1件の割合ということだ。

妊娠中の子宮は血流の豊富な器官だから、胎盤が剥がれれば当然大量の出血を招くことになる。ということで、妻の場合は最初から「子宮摘出を行います。」との確認をされ、大学病院の産婦人科医のほとんどが手術室に入っての手術だった。
医師から「子宮の摘出術でも大量の出血が伴い、生命の危険もある」と言われた。実際、妻の手術中は「何%かの確率で妻が死んでしまうかもしれない」と不安を感じながら時間を過ごした。

なんとか無事に手術は成功した。万全の体制であったにもかかわらず3千CC以上の輸血が必要だった。

このことから考えると、

  • 「癒着胎盤」の症例を実際に経験している医師は少ない
  • 妊婦検診でどの医師でも「癒着胎盤」を発見できるわけではない
  • 癒着した胎盤を剥がすには大量の出血が伴う
  • 子宮摘出を行うのにも大量の出血が伴う

と思われる。

大野病院のケースでは、恐らく術前には「癒着胎盤」との診断はしていなかったのだと思う。
「癒着胎盤」と分かっていれば、大学病院に転送するとか、多数の手術スタッフを用意するとか、子宮摘出術への変更を想定して手術に臨んだはずである。

帝王切開で赤ちゃんを取り出したあと、胎盤を剥がそうとして癒着していた部分から大量の出血が起こったのだと思う。
公判の中で、なぜ途中で子宮摘出術に切り替えなかったのかという指摘がされていたようだが、前述したように妊娠中の子宮摘出にも大量の出血が伴うのだから、胎盤を剥がそうとして出血が多くなったとしても、それなら子宮を摘出しようということにはならないのだと思う。

私は医師ではないから、この考え方が正しいとは言い切れないが、実際に妻が「癒着胎盤」で帝王切開と子宮摘出術を受けた経験から、今回のようなケースで、患者が死亡したという結果の重大性だけをもって、その刑事責任を産婦人科医個人に負わせるのは適当でないと思う。

もっとも、術前に危険性の予測はできなかったのか、術中の処置は適切だったか という点は厳しく検証されるべきだが・・・。

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